第1章:栄養に関する基礎知識

人間と栄養

栄養は「体を維持する状態」を指し、栄養素は「そのための物質」を指します。

人間は、毎日の何気ない食事から必要な物質を体内に摂り入れエネルギーとして利用したり、筋肉や骨、内臓などの組織の生成に利用されます。

の栄養は、体の機能の維持はもちろんのこと、人間の体の成長のために必要不可欠です。
また人間だけではなく、食事はどの生物にとっても必要な行為となっていますので、生物が生きていくため、成長していくためには重要な役割です。

このように、食物に含まれている物質を利用しながら、体を維持していくことを栄養と言います。

食べたものがしっかりと消化・吸収されるかは、種別によって大きく変化していきます。
例えば、肉食動物と言えばライオンが思い浮かびます。
ライオンは肉を主食として食べていますが、野菜を食べなくても大丈夫なのでしょうか?
ライオンの消化器官では、野菜を消化できません。
食べたとしても消化する前に排出されてしまうため、食べる意味がありません。

しかし、人間は肉も野菜も食べていますが、遺伝や育ってきた環境によっても変化します。
生活環境によって肉食に適していたり、菜食に適していたり様々です。

それらを理解して、栄養素を組み合わせて健康へと導くことが栄養学の実現となるでしょう。

栄養学が目指すもの

栄養学を学んでいく中で、単に各栄養の働きを覚えるだけでは効果は発揮されません。
そこで、栄養学が目指すものは本講座で登場してくる様々な栄養素を組み合わせて、人間の体に合った食生活にするための知識を身につけることです。

体に合った食生活にするためには、栄養素によって体にどのような影響を与えるのかを知っておくことが大切です。
また、それぞれの文化や生活スタイル、栄養の異常がもたらす病気も幅広く知っている必要があるでしょう。

健康という目的を見失わずに、本講座を学んでいる際にも常にどうしたら健康を達成できるのかを考えながら、栄養がもたらす効果を頭に入れていきましょう。

生活との関係性

人間は、肉や魚、野菜といった食べ物をあらゆる方法で手に入れてきました。
手に入れた食材を食すことで現代まで来ていますが、それらをどのように食してきたのかは、生活環境によっても大きく変わります。

土地の気候・環境・民族間の掟など、様々な要素が関わってその土地特有の食生活が形成されています。
その要素を簡潔に振り分けたものが次の4つになります。

  • 身体(健康・食欲・味覚)
  • 食生活(食習慣・食行動・食生活の意識)
  • 食料の生産(食料の生産・流通・経済・製造)
  • 調理(家庭の料理・給食・レストラン料理)

これら4つの要素が、土地ごとに様々な組み合わせを生み出すことによって、その土地特有の産品が生まれてきました。
日本でも、土地によって寒暖の差が激しく、山や海といった様々な場所で暮らす人によって、その生活方法が変わってきます。

さらに詳しく分けてみると「身体面」「食料の生産面」は自然科学の研究対象で「食生活面」「調理面」は社会科学の分類で研究されています。

本講座では、主に栄養が体に与える影響を勉強していきますが、このような生活との関係性も栄養にとって大事だという事も覚えておきましょう。

確認問題

第1章で学んだことを確認してみましょう。