第2章:栄養が人間の体に与える役割

人間の体に与える3つの役割

食事によって、摂取された栄養素は下記3つの役割に分類されます。

様々な食品に含まれる栄養素が働くことで、上記3つの効果が得られます。

また、人間が必要としている栄養素は、
炭水化物」「脂質」「たんぱく質」「ミネラル(無機質)」「ビタミン」「」の6種類に分類されます。

1.エネルギーを発生させる

人間をはじめ、様々な生物が生きていくためには、エネルギーが必要不可欠となります。
エネルギーとして必要とされる栄養素は「炭水化物」と「脂質」が主になりますが、たんぱく質もエネルギーを供給することができます。

最近では、ダイエットを行っていく中で、炭水化物抜きなどを耳にするようになりましたが、全く炭水化物を摂らなくなってしまうと、エネルギーを生み出すものが不足してしまいます。

エネルギーが不足してしまえば、体に力が入らなくなったりと、経験済みの人もいるのではないでしょうか?
言ってしまえば、体を自らの意思で不調状態にして、体重を減らしているようなものでしょう。

その逆で、食べ過ぎてしまえばエネルギーが多すぎて脂肪として体の中に溜まってしまい、肥満の原因にもなります。
そのため、献立を考える際にはこれらの問題も一緒に考える必要があります。

2.体組織作り・成長促進

体の組織を作る際には、多くの栄養素が関係してきます。
そのため、どの種類の栄養素をどれだけ摂り入れたかによって、体型などに大きく影響してきます。

肉食文化が強い地域では、たんぱく質が強いエネルギーをもたらし、大きな体になりがちです。
また、食料不足で十分な栄養がとれない地域では、体が痩せ衰えています。

人間の体組織を作り出すのに必要な栄養素は、筋肉を作る「たんぱく質」と、骨や血を作り出す「無機質」です。
また、血管・細胞膜の強化に繋がる「脂質」もたんぱく質や無機質ほどではないですが、体組織作りをするための役割をもっています。

また、決まった組織にはならないものですが、人間の体の大半を占めている「の摂取も必要となってきます。

3.体機能の調整

体の機能の調整を行うのは「ビタミン」「ミネラル」などの栄養素です。

ビタミンは「炭素・水素・窒素」などの有機化合物、ミネラルは「鉄(Fe)・カルシウム(Ca)」などの元素記号で表されるような物質です。
ビタミン・ミネラルのどちらも食品に含まれる量は少ないですが、人間の体の健康を維持するためには、大切な栄養素です。

ビタミンの重要性が分かる航海の話があります。
船内では白米中心で、野菜不足の生活が長く続いたことで、体調を崩してしまう船員が続出しました。
これがきっかけで、酵素化学は進歩していき、ビタミンの重要性が明確になっていきました。

人間の体に与える3つの役割を前提に、どの栄養が必要なのかを組み合わせて考えていくということがとても重要になってきます。
各栄養の詳しい働きについては、後程学んでいくので役割の原則を覚えておきましょう。

確認問題

第2章で学んだことを確認してみましょう。